マグニチュード99

最期の時まで美学を求めると決めた

日本の漫画文化を振り返れば、中野ゆう作「女獣屋敷」がある

昭和56年に発行され、私が一冊持っている まんだらけ通販 | サン出版 JOYコミックス/中野ゆう/『女獣屋敷』という漫画本がある。

これは6歳の息子を軸にして、愛し合いながらも性的能力に劣る夫との性生活に満足できない妻が、結婚前から肉体関係を続けている精力絶倫の男や、実はこの一人息子はその絶倫男の子であるのだが、他の男へも湧き上がる押さえきれない肉欲と、夫への愛情との狭間で悩み苦しみながらも、結局は男の求めを許し、男根を求め尻を高く突きだして受け入れ、我を忘れて歓びの声をあげる女の生き様を描き、作者中野ゆうの世界を深く描いた傑作だ。

だがこれだけの名作であるにも拘らず、作者についての情報は、ネット上では皆無に等しい。

何故、日本ではこうした性の分野での表現文化は蔑ろにされる傾向が強いのだろうか。

私は、畑中純のシリーズ作品「まんだら屋の良太」をも、これと並んで愛している。

日本の漫画文化は、今のメディアや広告代理店が需要と供給に操作の手を加え、商業主義的側面だけが前面に押し出されるアニメ文化とは全く違って、かつては幼児から大人までが年齢層に応じて充分に楽しめる文化的に高い水準にあったのだ。