函館ロケ「きみの鳥はうたえる」 パリでの評価は
26日から日本映画祭 コンペに出品
北海道新聞11/14
映画「赤い殺意」今村昌平監督
『赤い殺意』今村昌平監督作品
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なぜ、佐藤泰志の小説が次々と映画されるのか、私には解らない。
私は彼の小説「海炭市叙景」の映画作品を公開当時に観たが、原作者が育った北海道函館を舞台にした作品だというのについ魅かれ、しかし想像通りと言うか、入場料を払って特別に劇場に来るまでもなく、只々、何時でも何所にでも見掛ける数人の人間が淡々と生きて行く日常生活が描かれただけの、何一つ引き付けられる事なく、映画館の椅子に深く身を沈めたまま時間が過ぎて行き、全く退屈でカネを払ったのに後悔した映画であった。
その時、私は1時間も経ないうちに途中退場をして、たまたまロビーに居た館主からにらまれたのを憶えている(笑)。
だが観客がつまらないと思った映画には、観客は途中退場をして「つまらない」と意思表示をするべきだ。
制作者・作品と観客の間、そして制作側内に、共に厳しい評価のやり取りが取り除かれ、カネ目当ての優しい舐め合いが横行し、予定調和を強いられて緊張関係が取り除かれた馴れ合いなど、自らを表現者の一人を謳う以上はろくな関係ではない。
今の日本の映画界や音楽界から芸術性の欠片さえ感じられなくなり、ただのガラクタばかりになったのは、褒めてくれなければ、楽しくなければイヤとする今の若者たちが最も嫌う、そうした緊張関係が無いからだと私は思っている。
こう言う私が日本映画で最も好きな作品は、今村昌平監督の「赤い殺意」である。